労災保険は、仕事が原因の外傷や痛みの治療でかかる労働者の負担を、やわらげるための保険です。整骨院は外傷性疾患を扱う機関なので、整骨院で保険を使って治療ができる外傷や痛みなら、原因が仕事であるかぎり、労災保険を使って治療することができます。
健康保険より手厚い保証です
労災保険は、働く人に負担が掛からない保険です。
労災保険とは
仕事で負傷した人が、仕事に復帰するのを支援するための保険です。仕事に行くために家を出てから帰ってくるまでの外傷や痛みの治療が対象となります。

- 労災保険が適用される仕事とみなされるのは、業務の遂行上必要な時間全てです。
- 外傷は外的要因によるケガのことで、ケガを負うことを負傷といいます。外傷には、微小な外力の繰り返しや関節の使い方の異常で、はっきりした理由が分からずに負傷することもありますので、痛みが外傷にあたるかどうかは、柔道整復師の判断となります。
- 解剖学的に区分した身体の各部分を部位といい、部位どうしが近いことを近接といいます。健康保険では近接した部分の治療は認められていませんが、労災保険では近接の場合でも治療が制限されていないので、負傷した部位をしっかり治療することができます。 ※治療部位について詳しくはこちら
健康保険とは
働く人と、その扶養者が最低限の治療を公平に受けられる、相互扶助的な考えに基づいた保険です。仕事に関係する時間以外に生じた外傷や痛みの治療が対象となります。
- 仕事外の外傷が治療の対象です。
- 保険が適応される治療箇所は3部位までです。
- 近接部位の治療は認められません。
- 治療期間はおおむね3か月になります。
- 窓口で、一部負担金と材料費を支払います。
労災保険が使えると非常に助かります
多くの方が、労災保険を使って通院しています。
整骨院での労災治療
- ある動作をしたときに痛みがあること
- 痛みの原因が仕事中の動作であること
- その動作の繰り返しで症状が悪化していること

外傷のはっきりした理由が分からなくても、以上の条件がそろえば、労災の認定を受けることができます。労災保険を使うことができれば、治療に伴う経済的な負担が軽くなります。労災保険を使って治療できる条件がそろっていたら、早めに手続きをしましょう。後になるほど、変更が大変になります。
会社が認めてくれないことがあります
労務の担当者に説明しますので御相談ください。
整骨院での労災治療
誤解や様々な理由で、労災保険を使わせてもらえないことがあります。
- 会社に責任がないので使えない
- 以前から痛かったのだから使えない
- 皆が痛いので、あなただけは使えない
- あなただけケガするのはおかしい
- 使ったことがないから使えない
仕事が原因の負傷には健康保険が使えないので、治療費をご自分で負担しなければなりません。法令遵守の観点からも大切なことなので、会社と相談して労災保険で治療するようにしましょう。
労災保険の利用を会社にお願いするために、柔道整復師が労災保険が適用される施術であることを証明した申請書をお渡ししますので、会社に提出してください。

仕事中のケガに使います
国が決めたルールです。
整骨院での労災治療

健康保険に加入されている患者様が、仕事中に負傷された場合は、労災保険を使って治療します。仕事以外の時間に負傷された場合は、健康保険を使って治療します。
国民健康保険や私立学校共済は、仕事中の負傷にも適応されますが、労災保険に加入している場合は、労災保険が優先されます。
国家公務員や地方公務員の患者様が、仕事中に負傷された場合は、公務災害として災害補償基金が適応されます。
健康保険に加入されている患者様(協会けんぽ、健康保険組合)の場合、仕事中の負傷は健康保険を使って治療ができません(健康保険法第一条) 。労災保険が認められない場合は健康保険が認められるのですが、本来、労災保険を使って治療するべきケガや痛みを健康保険で治療すると、保険請求は認められず、患者様の自己負担になってしまいます。労災保険が使えるケガや痛みでは、患者様のメリットが多いので、労災申請をしましょう。
労災保険の趣旨を理解しましょう
最長で1年6か月使えます。
整骨院での労災治療
労災保険と雇用保険は双子のような保険で、合わせて労働保険といわれます。労働保険は労働者の生活を守るための保険です。
雇用保険が、仕事を失った方の救済を目的としてのに対し、労災保険は働く人の社会復帰を助けることを目的としています。負傷前と同じように働けることを目的としているので、治療ごとに少しずつ良くなっているかどうかが、治療を継続できる判定基準になります。
半年に一度くらいの頻度で、労働基準監督官から症状の問い合わせがあります。治療ごとに少しずつ良くなっていれば治療が継続できますので、労働基準監督官にしっかり状態を伝えましょう。
